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2020.07.13 住まい ひと

すべて全力で楽しみたいから「住みながら変えていく」リノベスタイル
エピカデザインオフィス たちの かなさん

仕事も、育児も、住み方も自分らしく。
今回は、子どもと住むがもっと楽しくなるリノベーションマンション「cotosumuコトスム」をプロデュースした、エピカデザインオフィス/ホームプランナー・たちの かなさん にお話を伺いました。
3人の子どもの子育てに追われながら、フリーランスの道を選び、大学での勉強もしているという、エネルギッシュなたちのさん。
住みやすさを追求してリノベーションを重ねたご自宅を拝見しながら、“自分らしくすむ”を紐解きます。

住みながら変えていく

―都心に近い、落ち着いた住宅地に佇むマンションで出迎えてくれたたちのさん。小さなお子さんが3人もいるとは思えないほど、すっきりとした室内です。まず、面積が57㎡と聞いて驚きました。

「もっと広そうに見える」と言ってもらうことが多いですね。専用庭があるのも一つの理由だと思いますが、リビングと洋室の間に“抜け”をつくる工夫をしています。
私も夫も京都出身。都心に近い割に、雰囲気が落ち着いているこのエリアが気に入り、立地重視で物件を探していました。ただ、そうなると広さの条件が限られてくるので、面積よりも“体感的な空間の広さ”をチェックしていたんです。内見時から、この壁はこのようにすることを決めていて、引っ越ししてからすぐに工事しました。

リビングと洋室の間は、格子で“抜け”をつくりました。リビング側にはロールスクリーンを取り付け、来客時には目隠しできるように。

最近では昨年、キッチン、洗面、ウォークインクローゼットのリノベーションを行いました。引っ越してきた時には1人だった子どもが3人に増え、子育てしている中で、ここは使いにくいとか、色々と分かったことがあり、住みやすくしたいなと思いまして。“住みやすさ”は、ライフステージによって変わっていくので、それに応じてリノベーションして変えていくのが私のスタイルです。

住まいのプロとママの視点、両方を活かす

―素敵なタイルが目を引くキッチンですね。リノベーションでこだわったポイントを教えてください。

見た目を私の好きなスタイルにしたのは、もちろんなのですが、機能面もこだわっています。例えば、システムキッチンの幅を狭めたんです。これは、キッチン横を子どもがコンビカーに乗って遊んでいると、角にぶつかってしまうのが理由。通路の幅を広げることで、子どももスイスイ楽しそうに遊んでいますし、私も角が傷つく心配をする必要がなくなりました。

実は、施工会社さんからは、キッチン背面の収納と幅を揃えた方が美しく見えるし一般的ですよ、と言われました。でも、子育て中の私にとっては、生活しやすさが大事なので、プラン通りお願いしました。お客様のインテリアプランを考える際も、日々の生活の様子・パターンを詳しくヒアリングし、「生活しやすさ」を追求したご提案をするよう心掛けています。

キッチンの幅を狭くした分、ガスコンロからIHに変更して調理スペースを広げました。また、シンクは掃除しやすいように凹凸がないものを選んでいます。コンロ横のキッチンパネルは、冷蔵庫の前まで延長して、油を使った料理の後も、簡単に拭き掃除ができるようにしています。この工夫は、お客様にも好評で、「cotosumu」でも使っているアイディアですよ。

キッチン前のカウンターは、子どもの勉強場所としても使えるように、幅を広めに。照度を確保するために、頭上にライトを設置しています。これも「cotosumu」に反映しています。

「cotosumu」のリアリティはここから

―たちのさんが実際に取り入れている工夫が、「cotosumu」で活かされているのですね。洗面所の工夫も教えてください。

元は洗面所側に開く扉でしたが、廊下側に開くように変更しました。3人の子どもを一度にお風呂に入れた後、体を拭いたりする時に、扉が邪魔でひしめき合っていたので。スペースが広くなって、心にも余裕が生まれた気がします。

洗面台の鏡は既存のものです。ただ、蛇口の背面も鏡だったのですが、ここはタイル貼りにしました。手が届きにくく、鏡のお手入れが面倒くさかったですし、照明が反射してまぶしすぎるのが苦手だったというのもあります。

洗面台下の収納は、オープン棚+バスケットのスタイルにしています。バスケットには、おむつやタオルといった、お風呂上りに即使うものを入れているので、わざわざ扉を開ける必要がないオープンスタイルは効率的だと思っています。棚は一部を可動棚に。今は、使用済みのオムツをパッと捨てられるように大きめのゴミ箱を置いていますが、オムツを卒業したら、棚の高さを変えて、別の物を収納するスペースにする予定です。

それから、元々はもう少し奥行きが深い収納でしたが、奥行きが深くても、奥側は見えづらいので使い勝手が悪いんですよね。そこで、浅めに変更して、その分脱衣スペースを広げました。また、洗濯機上には洗剤やハンガーなどを置ける棚と、衣類を一時的に掛けられる場所をつくっています。これも「cotosumu」で取り入れているアイディアです。

あと、壁は腰高で仕切り、下の方は防汚機能のある機能性クロスにしています。上側は、私のテンションが上がるように、好きな柄を貼りました。

銀行員からインテリアの道へ

―こだわりの工夫が次から次へと出てきて驚きました。ところで、元々は金融機関に勤務されていたとか。どんなきっかけで転身されたのですか?

当時、融資担当として関わった、とあるコーヒー屋さんがきっかけです。そこは京都の錦市場の近くにある昔ながらの喫茶店。若いご主人が後を継いで、おしゃれなカフェに改装し、スペシャリティコーヒーのお店として、生まれ変わらせたんです。焙煎機は変わってないので、味は同じ、食器も同じなのに、地元で注目されるカフェになった一部始終を見て、空間の力ってすごい!と感動しました。

その後、長女を妊娠したのをきっかけに、退職して町田ひろ子アカデミーに入学、インテリアのことを学び始めました。課題をこなしていくのは思ったよりも大変でしたが、作品をつくったりしていると、エネルギーが湧いてきて、つわりも忘れて没頭したのを覚えています。

―フリーランスになる決断はどのようにされたのですか?

仕事もしたいけど、子どもともしっかり関わりたい、と思っていて、そのライフスタイルを実現するなら、フリーランスが一番だと。フレキシブルに仕事ができて、子どもと寄り添いたい時には、誰に遠慮もせずその時間を捻出できるので、今の自分には合っている働き方だと思っています。あとは、挑戦する背中を子どもに見せたい、という気持ちもあります。最近、小学一年の娘が、自分なりに間取りを描いているんです。私の仕事に興味を持っているようで、嬉しいですね。

それから、今、大学の通信講座で建築の勉強をしており、レポート作成の時間をつくるにも、フリーランスにしてよかったと感じています。勉強したことを活かして、空間づくりにもっと深く関わっていけたらと考えています。

空間の力で新しい価値を

―これからどんなことをしていきたいですか?

子育てに役立つインテリア情報を中心に、ほぼ毎日インスタを更新していまして、質問などもいただけるようになってきました。皆さんの反応から、どのような情報が求められているのか、少しずつ掴めてきたので、そのような情報を、オンラインセミナーなどを通してお届けできたらと思っています。
今は、自分が子育てしている中での経験を活かしたいと考えていますが、いずれは住宅だけにこだわらず、色々な分野に挑戦できたらと思っています。(転身のきっかけとなった)錦のコーヒー屋さんのように、「空間の力」で新しい価値を生み出す仕事が目標です。

家事に、仕事に、育児に、夢への挑戦にと、一日24時間ではとても足りないのではないかとも思えるたちのさん。
お住まいで拝見した一つ一つの工夫が、時間の捻出に役立っているように感じました。「これからもリノベーションしていくと思います」と語っていた通り、たちのさんにとっては、住みながら変えていくスタイルが、楽しみながら思う存分自分らしく生きる、ということにつながっているのかもしれません。
 

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たちのさんご夫婦の共通の趣味は「コーヒー」。最近購入した焙煎機で焙煎した、本格コーヒーを楽しむのが、癒しの時間に。
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